「もののふ莫迦」 中路啓太〜もののふのみちに外れたものはいずれ滅びる〜lyustyleの読書

今回は、「もののふ莫迦」 中路啓太

 久々の小説です。

 2015年の「本屋が選ぶ時代小説大賞」を審査員全員一致て取ったすごい作品です。

 この本を,私は昨年の秋頃買いましたが、いろいろと大変だった時期で、最初の方だけちょこっと読んで放置していました。

 550ページ以上ある分厚い本ですから、ちょこちょこ読める時に20冊並行読書で読もうなんていう方法ではとても太刀打ちできない本です。

 でもメルマガに書くために2週間で読む計画を立てて、1日何ページとすれば、あとは時間が解決します。

 結果的には面白すぎて拍車がかかって、予定よりもどんどん読み進め、計画よりも遥か前に読了しました。

 小説を読むのに1日何ページなどと計画を立てるのは愚の骨頂的な論はよく見るところですが、少なくとも私には当てはまりません。

 計画を立てることで拍車がかかり、ぐんぐん読める、という読み方もあるのです。

 家に帰ってからも仕事のことが気にかかっている状態では、「読みたい」という気持ちはどんどん優先順位の下に追いやられます。

 計画を立てなかったら私は今でもこの本を読み通してなかったでしょうし、この、ワクワクして心臓が飛び出てしまいそうなおもしろさも感じることはできなかったのです。

 どんなに忙しくても読み進めるためには、計画による優先順位上げが私に取っては最も良い方法です。

 ・・・と,読書の仕方は置いといて、ネタバレしないほどにこの本の紹介をします。

 舞台背景は、秀吉の九州統一から加藤清正の死後数年を経た時代まで。

 場所は、肥後。朝鮮。

 秀吉によって滅ぼされた肥後の城主一族とそれに使えたものたちが、「もののふの道」という言葉による絆で結びつき、清正と一生をかけて対峙します。

 主人公岡本越後守という、まっすぐで頑固な武士が、たくさんの侍たちを魅了し、巻き込み、意図せず人生をよくも悪くも変えていくのですが、結果的に被支配者である自分たちを見下げ果てる清正をもまた魅了します。

 清正は、自分にどこまでも歯向かう越後に、勝ち誇り見下げ果てた態度を取りながらもずっと心を囚われ続けるのです。

 ここでは、清正は、荒くれ者の武辺者としての描かれ方はしていません。

 剛毅な者として描かれてはいますが、「もののふのみちを、持たぬ奴は、いっときは勝つことがあっても必ず滅び去るのだ」とちう越後守の言葉に終生囚われ、張り合おうとする繊細な心を持った武将として描かれています。

 形の上では岡本を屈服させる清正ですが、そして清正に臣従する越後守ですが、清正の家来として赴く朝鮮において驚くべきことを起こします。

 ネタバレになりますので、筋についてはここまで。

 この話には秀吉はほんの一瞬しか出てきません。三成の讒言により秀吉の怒りを買った清正が、徳川家康、前田利家とのとりなしにより秀吉の前に出ることを許される場面です。

 それ以外には、一切出てきません。

 熊本の国人衆たちの砦を取り囲む膨大な数の関白軍の様子により,姿は見せない秀吉のあまりに強大な力を感じるのみです。

 支配される側の人々の目から見たら、どれほどその存在が大きいことか。

 それは圧倒的な力の差として眼前に示されます。

 秀吉の側からの征服譚は血湧き肉躍る面白さがありますが、視点を変えてこれまでの風習や信じる神々などを軽々しく踏み潰される側からの感じ方は、こうもあろうかと、気持ちが入り込みます。

 だからこそ、姿を見せない秀吉の強大な力が絶望的に大きく感じられるのです。

 しかし、その数による圧倒も、越後守の「もののふのみちに外れたものはいずれ滅びる」というひとつの言葉に翻弄される

 それがとても面白い。

 よく知っている「あの話」の裏で、全く知らなかった「この話」がからみ合い、真実と虚構の微妙なバランスのもとで、知的好奇心を揺さぶり続けられます。

 冒頭に仕掛けられた謎の解答は、最後まで全く予想すらできませんでした。

 審査員全員一致による本屋大賞受賞は、さもありなん。

 小説はいいものです。

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