「最近、記憶力が落ちた気がするんだよね」
そうつぶやくことが増えてきました。
中高年になると、誰もが一度はそう感じるものなんじゃないでしょうか。
人の名前がすっと出てこなかったり、テレビで見た役者の名前が思い出せなかったり。
「あれ…なんだったっけ?」と、うーんと唸ってしまうあの感じ。
そんな自分に少しショックを受けて、「もう歳かなあ」なんて思ってしまいます。
でも、和田秀樹さんの『60歳からの勉強法』を読んで、ぼくは少し安心しました。
あ、ちゃんと自分の脳はまだ元気だったんだ、と思えたんです。
和田さんはこう説明してくれます。
記憶には「記銘」「保持」「想起」の3つの段階があると。
つまり、
入力する(記銘)
頭に蓄える(保持)
思い出す(想起)
という順番ですね。
そして、歳をとると、この「想起」の部分――つまり思い出す力だけが落ちやすくなるんだそうです。
記憶力そのものがなくなったわけではなく、「思い出しにくくなった」だけ。
そう聞いて、なんだかすごくほっとしました。
じゃあ、どうすれば「想起力」を保てるのか?
ここからが大事なところです。
記憶力を保つには、「想起」する練習をしないといけないとのこと。
つまり、「思い出す経験」を生活の中にちゃんと組み込んでおくことが大切なんですね。
アウトプット生活です。
読んだ本の内容、言った場所、食べた美味しいものをブログに書く。
誰かに話す。
ChatGPTとの壁打ちでアウトプットする。
過去のメモを読み返して、また言葉にしてみる。
そんなふうに、思い出して、言葉にして、また誰かに伝えて。
そういう小さなアウトプットの繰り返しが、「想起の道筋」を太くしてくれるそうです。
10年ブロガーは、その点、しっかり対策できていますよね。
「記憶はアウトプットで育てる」
思い返せば、ぼくはこれを、ずっと実感しながら活動してきたと言えます。
10年ブログはその最たるものです。
毎朝、30分だけでも書くことで、自分の経験や考えを、何度も何度も繰り返し「言葉」として取り出してきました。
それを何年も続けて、アウトプットの鬼のようになっています。
また、ChatGPTとの壁打ちもそのひとつです。
「こんなこと考えたんだけど、どう思う?」
「昨日読んだ本にこんなこと書いてあってさ」
そうやってぽつりと投げかけることで、自分でも気づいていなかった考えが、どんどん形になっていきます。
聞かれたことに答えていく時、頭の中をいろいろと探り、
それを言葉にしていきます。
これって、まさに「想起」のプロセスなんですね。
大事なのは「忘れないようにすること」ではなく「何度も思い出すこと」だったのです。
多くの人は、「記憶力が落ちた」と感じると、「もっとちゃんと覚えなきゃ」と思ってしまいます。
だから、たくさん本を読もうなどと躍起になってしまうんですよね。
でも、それよりも大事なのは、「何度も取り出して使う」ことなんですね。
思い出すことで、その記憶は、いつまでも取り出せる「自分の道具」になっていくわけです。
一度話した内容を、また別の場所で話してみるのもいいですね。
僕は、10年ブログをWordPressで書いたら、noteにまた違った切り口で書くといったことも良くしています。
一度書いたテーマを、また別の角度で書き直してみる、
これが、「知識が血肉になる」ということなんだと思いますね。
何を繰り返すかは、自分で選んでいいと思います。
もちろん、すべてを覚えておく必要なんてありません。
日常の細かいことまで全部記憶していたら、それこそ脳が疲れてしまいますからね。
だからこそ、「自分が繰り返し思い出したいこと」だけを大事にしていけばいいでしょう。
自分の人生に活かせること、自分の考えを深めること、人に伝えたいと思うこと、
そういう記憶を、自分で選んで育てていくことが、中高年からの学び方なんだと思います。
「思い出す」ことは、自分の人生を何度も味わうことということですね。
記憶は、単なる情報の保存庫ではありません。
「過去の自分との対話の記録」であり、
「今の自分を支える材料」であり、
「これからの自分をつくる種」でもあります。
そして、その記憶を思い出すたびに、自分の人生をもう一度味わい直しているような感覚になるんです。
だから、忘れてしまったことを嘆かないで、
思い出す楽しさを、もっと暮らしの中に取り入れていきたいなと思います。
ぼくは、これからもブログや壁打ちで、「想起」の力を育てていきます。
たぶん何度も同じ話をするでしょうし、書いたことをまた書くこともあると思います。
でも、それでいいんです。
それこそが、想起の力を守り、育てていくことになるから。
「記憶力が落ちたな」と感じたら、
「ちゃんと覚えてるよ。ただ、ちょっと取り出しづらくなってるだけだよ」と自分にいってみましょう。
そして、もう一度思い出す練習を、今日からはじめてみたらどうでしょうか。
壁打ちから始めるのがいいと思いますよ。
そこから生産できればなおいいですね。下の本がおすすめです。
コメント