【世界のエリートはなぜ美意識を鍛えるのか 山口周】イノベーションに必要な要素は「美意識」

山口周さんの「世界のエリートはなぜ美意識を鍛えるのか」を読みました。

その中で、僕の心に大きく残ったことがあります。

それは,今後のイノベーションを生み出すのに必要な要素は、アート、すなわち「美意識」である、ということです。

それは、アート、すなわち美意識による直感がなければ、科学的なデータ、論理的な分析、貴重な経験から生み出される「誰もが同じ答え」を出すコモディティ化した世界の中で、突出したアイデアを生み出すことができないからです。

サイエンス(論理)とクラフト「経験)の前に、アート「直感、美意識)は破れ去る

わかりやすく、人の意思決定の傾向を次の三者で表してみます。

  • アート
  • サイエンス
  • クラフト

サイエンスは、徹底した市場調査によるユーザーのニーズをデータとして持っており、意思決定にはそれを使います。

エビデンスが明確であるので、自信を持って意思決定できます。

しかし、注意点があります。

それは、持っているデータは既に過去なものであり、これから起こることには対応できないということです。

クラフトは、経験を意思決定に使います。

経験を積み重ねてここまで叩き上げた人ですから、その人が経験に照らしていう言葉には説得力があります。

しかし、留意点は、それも過去のことであり、これから起こることにはその経験がそのまま使える保証はないということです。

アートは、直感力を言います。

まだ人が見たこともないようなアイデアを出すのが得意です。

留意点は、なんの科学的な調査してやエビデンスにも、自身の確固たる経験にも、誰にも依拠していないことです。

そのアイデアが良い物なのかどうなのか、判断できる人は誰もいません

サイエンスがトップでも、クラフトがトップでも、予測不可能な状況を前にして解決策は出せない

以上のことから何が言えるのか。

それは、アートのアイデアは、簡単にサイエンスとクラフトとによって潰されてしまうということです。

それがどんなに革新的な物でも、サイエンスの持つデータには、そのニーズはありません。

まだ、世界にない物ですから当然ですが。

クラフトも、自分の経験から「過去にそんな例はなく、それが成功するとは思えない」と反論します。

過去に例がないのは当然です。

新しいアイデアなのですから。

かくして、アートの革新的なアイデアは、サイエンスの論理と、クラフトの経験から簡単に潰されてしまうのです。

アートがトップになることにより、独特な解決策が生まれ、イノベーションが起こせる

では、アートの意見が採用されるにはどうしたらいいのかというと、アートがトップを取ること以外にはありません。

サイエンスがいかに過去のデータで反対しても

たたきあげのクラフトがいかに過去の成功事例の経験から反対しても

それを押し切って、まだ前例のない、ニーズもわからないアイデアの実行を押し切ることができるのは、アートがトップにある組織です。

サイエンスがトップでも、クラフトがトップでも、その組織はイノベーションを起こすことはできないわけです。

アートがトップである組織は、縦横無尽にアイデアが出されるので強い

Apple の初期、スティーブ・ジョブズのアートと、ジョン・スカリーのサイエンスはうまく働いて、会社をのし上げて行きました。

ところが、会社が安定し、成功経験が積み重なると、斬新なアイデアばかり出してくるスティーブ・ジョブズは邪魔になってきます。

その結果,スカリーはジョブズを追い出してしまうわけですが、アイデアが降って来なくなったアップルはWindowsの台頭に全く太刀打ちできず、仕方なくスティーブ・ジョブズを改めて迎えます。

すると、途端に5色のiMacという、当時の常識ではその費用対効果から誰も考えなかったアイデアを、ポンと採用し、結果、奇跡のV字回復を成し遂げることになりました。

ここの判断は、経験や論理だけではできなかったということです。

ウォークマンを生み出した当時のソニーも、同じような状況でした。

当時の顧客のニーズに、録音もできない小型のテープデッキなどそぐわないと言って大反対する経営陣に対して、トップは「おもしろいから」と言ってゴーサインを出すのです。

科学と経験からの意思決定ではできないことでした。

しかし、そのソニーも成功経験が積み重なるにつれて、まだみぬ見ぬニーズに対して意思決定ができず、Apple のアイポッドに携帯音楽の市場を席捲されてしまいます。

トップが「アート」の意思決定の傾向を持つ人だと、難曲を乗り切りやすいというわけですね。

日本海海戦に見られるアート(直感力=美意識)の意思決定

日本海海戦といえば、日露戦争の勝敗に重要な役割を果たす一大決戦です。

これに勝つか負けるかで、日本の興廃が決まってしまうような大解散でした。

連合艦隊総司令官東郷平八郎のもとで作戦担当参謀をしていた秋山真之は、世界の過去から現代までの兵法を学び尽くした秀才でした。

しかし、その兵法の論理と経験を持ってしても、この日本海海戦の勝利の解決には太刀打ちできません。

なぜなら、ロジェストウィンスキー率いるバルチック艦隊が、対馬海峡,津軽海峡,宗谷海峡の三つのルートのうち、どこを通ってウラジオストックに入るのかは誰にもわからなかったからです。

一度ウラジオストクに入られてしまえば、神出鬼没に日本海を荒らされ、日本から大陸の戦地へ兵隊や兵站を輸送することができなくなってしまいます。

大陸の日本軍は孤立し,戦うことができなくなり,日露戦争は日本の負けとなります。

バルチック艦隊がウラジオストクに入られる前に,なんとか一隻残らず沈める。一隻でももらしたら,それが日本海を荒らすわけです。日本の日露戦争における勝利はありません。

完全勝利。

それが日本海海戦に求められた勝利だったわけですね。

ところがそんな重大な作戦の一番大事なポイント、「バルチック艦隊はどこからウラジオストクを目指すのか」ということがわからない。

対馬海峡に張っていても、太平洋側から津軽海洋や宗谷海峡から抜けられるかもしれない。

逆もまた然りです。

間違ったところに張っていて、気づいてから急いで追いかけても遅いのです。

この時の秋山真之のたった行動は何か。

それは寝ることだったと言います。

最後は、自分の直感に任せたわけですね。

そしてその秋山真之の夢には、対馬海峡に向かって黒煙を吐きながら近づいてくるバルチック艦隊の姿が現れました。

飛び起きた秋山真之は、すぐに帝国艦隊を対馬海峡に向かわせます。

あとは歴史通り、世界史に残る完全勝利となり、その後の日本の運命を勝っていづけることになりました。

実にスピリチュアルな話ですが、当然話しとしての誇張はあります。

しかし、ここで言われているのは、論理や経験からでは全く意思決定ができない時に、働かせた力は直感であったということです。

徹底的にサイエンスとクラフトの力を働かせ、それでも決定できない時に、最後に直感を使う。

これができる人がトップにいる組織は強いわけですね。

まとめ

世界のエリートはなぜ美意識を鍛えるのか。

それは、この何が起こるのか予想もつかない時代、データによる解析にはあまりにも因子が多すぎるこの時代、そして誰も経験したことがなく経験で語ることができないこの時代に、それを乗り切り、大きく飛躍することができる要素は、アートによる「直感力すなわち美意識」であるということでした。

とても状況の把握にとって腑に落ちる本でした。

この記事では、その一部を紹介しました。

なお、日本海海戦の件は、本には出てきません。

僕の知識から関連づけました。

出典は「坂の上の雲」司馬遼太郎です。

Podcastでと話しました。

ラジオですのてわ、お仕事やウォーキングの時にお聞きください。

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