今回は、ベストセラーになった 草薙龍瞬の「反応しない練習」です。

今回この本を選んだのは、前回ご紹介した本と関係があります。
トマス・レナードの「いつもいいことが起きる人の習慣」の紹介の中で、ブッタの教えに通底する実に骨太の法則だということを述べました。
この本を再読し始めて、上のようなことを思い始めた時、次の本にはこの「反応しない練習」を選ぼうと決めていたのです。
僕はこの本が好きでよく読み返します。
なぜかというと、僕はいろんなことに反応しまくりの人生ですので、だからこそ迷走するのです。
なにかをきっかけに反応して迷走し、そこで何かにぶつかって反応し、悩み、また迷走します。
まぁ、迷走は楽しいからいいとして、できれば悩みからは抜け出たいものです。
できれば悩みたくない。これは、人類の永遠の夢でしょう。
しかし、それは無理な話であって、人間は生きている以上悩みから逃れることはできないのだ、とブッダは2500年前に閃きました。まさにそこから、悟りが始まったわけです。
仏教というのは、
「悩みは逃れることはできないけれど、悩みには原因があるのであって、その原因は取り除くことができるよ、そのための方法があるんだよ。やってごらんなさいよ」
という、生き方と方法を示してくれているまさにライフハックなのです。
けっして、仏を拝めば、あの世では良いことがあるであろうというようなものではありません。
そんな、具体的な方法を、著者の草薙龍瞬氏はブッダの口を借りながら、わかりやすく教えてくれます。
私が一番心に残っているのは、悩みは全て心の中に生まれるものであるから、心の外に意識を向けることで悩みを消すことができるのだ、というところです。
心の外に意識を向けるということは、体の感覚を意識するということです。
息が鼻を通っていることを感じる。
息をするたびに胸や腹が膨らんだら凹んだりすることを感じる。
歩く時には、左右の足の裏が接地していることを感じる。
このような感覚は心の外にあるのであって、そこに意識を向けることで、心の中の妄想を消すのです。
わかりやすいことではありませんか。
前回ご紹介したトマス・レナードの「いつもいいことが起きる人の習慣」は,長年コーチとして活躍されてきた自身の経験から導き出された法則ですが,結局,2500年前に仏陀が気づいた人の悩み苦しみを消す実効的な方法を別の視点から述べたものでした。
稀有な人物によるこの気づきが,神聖化されたり現生利益の道具にされたりせず,当初生み出されたまま,悩み,苦しみを軽減する「ツール」として使われ続けてきたら,今の,というよりもこれまでの人々の歴史はどのような様相を示してきたであろうか,という思いにふけることがあります。
しかし,そうはならなかった。
キリスト教も,イスラム教も,もとをただせば,生き方について説いています。
それをそのままにしておかないのが,人。これもまた人の悩み,苦しみがそうさせてきたのでしょう。
印象深い一節があります。
「ちなみに,「貪欲」「怒り」「妄想」は「三毒」と呼ばれ,「人間の三大煩悩」とされています。今に伝わる仏教は,こうした煩悩を「戒めなさい」と説きます。しかしブッダが生きていた当時,これらは「心の状態を理解するためのツール(方法)だったのです。」
2500年前に生み出されたライフハック・ツール 仏教。
そこに示された 「悩みを生み出す無駄な反応をしない」ための方法。
偉大な知恵をツールとして自分の悩みの軽減に生かしてみたい方にはおすすめの一冊だと思います。
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