メルマガ「週刊知的迷走日記」のメインコンテンツ,Lyustyleの読書で配信したものをリライトしたものです。
この書評もとうとう40冊目を迎えました。
鳩のように飽きる(久しぶり!)私としては,考えられないことです。
その40冊目は,アウトライナーフリーク Tak.さんの最新刊「アウトラインプロセッシングLIFE」です。
「アウトライン・プロセッシングLIFE: アウトライナーで書く『生活』と『人生』」
今週書こうと思っていた別の本を後回しにして,私は この「アウトライン・プロセッシングLIFE]をご紹介します。
アウトラインプロセッシングって何?
アウトラインプロセッシングというのは,アウトライナーというソフト,アプリを使って,文章を作っていく過程を言います。
一見,ただのエディターのように見えますが,改行によってつくられた段落を一つの単位として,キーボードやマウスの操作で段落ごと自由に移動できるようになっています。
段落の途中で開業すれば,それは別々の段落になり,それぞれ別に移動することができるようになります。
また,逆に,段落の末尾で削除キーを押すことで,次の段落がくっついてきて二つの段落を結合させることもできます。
ここまでは,実はWordでも簡単にできます。Shift+alt+上,下で,段落ごと動かすことができるのです。
しかしアウトライナーの真骨頂はここからです。
段落Aを段落Bの「子」にすることができるのです。
段落Bを段落Aの下において,tabキーを押すことで,BがAの下に入ります。
Aが「章」,Bが「節」になったと考えてもいいでしょう。
もちろん,CをBと並べてAの「節」にすることもできますし,もう一段下げて,CをBの「項」にすることもできます。
こうなったら何がいいのかというと,一番上のAを動かすだけで,自動的にその下にあるBもCも一緒に移動してくれることです。
章の順番を,それ以下の文章と一緒に,まとめて入れ替えることができるのです。
また,章Aを,それ以下の文章と一緒にまとめて章Dの下に移動させることなどもできます。
章だけを表示しておおまかな構成をつくったり,ある項のみにフォーカスをあてて,それだけを表示して集中して書き込むこともできます。
アウトラインプロセッシングというのは,段落を一つの要素として自由に移動しながら,より目的に応じた構成にしあげていくことができるのです。
以上ざっくりとした説明でしたが,概要はお分かりのことと思います。
アウトライナーフリーク的タスク論
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この本を読んで,私もアウトライン・プロセッシングLIFEを始めました。
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「アウトライナーフリーク的タスク管理論」と言う最初のパートの見出しを読んだ時、おそらくおおかたの人は「知ってる」「やってる」と言うような印象を持ったのではないでしょうか。
私だってやってましたよ。
2014年の4月から毎日のタスクをWorkflowyに思うがままに書き出して,整理し,それをコピーしてToodledoというタスク管理サービスで進捗管理していました。
また,自分の様々な役割ごとに項目を作った日報と週次レビューのテンプレートを作って、管理してきたのはこの記事に書いた通りです。
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自分に語りからながらDoをタスクにブレイクダウンしていくのは実に楽しいものです。頭の中がクリアになっていきます。
それは、本書内でもTak.さんが言及されている通り、まさにGTDにおける「レビュー」をしていることだといっていいのでしょう。
私でさえこういう状況ですから,おそらく多くの人が同じような気持ちでWorkflowyをタスク管理ツールとして使ってきているに違いありません。(そもそも,Workflowyのコンテキストメニューには”Complete”があります。まさにリストをつくるためのツールですから!)
しかし,Tak.さんの頭には,そのさらに向こうがありました。向こうというより、根底にある思想と言った方が合うでしょうか。
「LIFE」です。
「自分の人生の物語を書くようにレビューする」という考え方です。
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ALLからDOへ、DOからタスクへと、ブレイクダウン(細分化)しながら、また,逆にレベルアップ(統合,タイトルづけなど)しながら、人生の重要なことから今日しなければならないことを決め,逆に,今日しなければならなったことから人生の重要なことがらが影響を受けて変わっていく。
シェイクしながら自分の未来について考え、ときには思いつくメモを同時に書き出しながら一つのDaysに作り上げていく作業は、明日なり来週なりの自分の未来の物語を書いていることに他なりません。
「アウトライナーでは、そのようなことができるんだよ、そして、タスク管理とは自分物語を書くということなんだよ」ということを、改めて語りかけてもらい,目から鱗が落ちるような気持ちでした。
私は、これまでは、確かに本書に言う所のDaysを、まずWorkFlowy上に書いてきました。
夜と翌日の朝にレビューを行い、そこですでに達成されて過去になったことを、日報のテンプレートとして作ってあるアウトラインに埋めて一日を自分の役割ごとに再現し,デジタル日記に転記するというのが私の方法でした。
せいぜい,項目をブレイクダウンしたり,グルーピングしたりするくらいです。「教師として」「◯◯を学ぶものとして」などの人生の役割を見出しとして作っているアウトラインですから,トップダウン,つまり中に埋めていくという作業しか生まれません。
人生の重要なことは先に不動のものとして見出しにしておりそれが動くことはないのです。
さらに,そこから上位にある人生の価値や目的などについてレベルアップし,書き換えていくというようなことは考えもしませんでした。
まるで,項目だけあげて、中身を書いていない物語のようです。
しかしこの本を読んで、私も人未来の物語をWorkflowyで書いてみたくなりました。
後から思い出してテンプレートのアウトラインを埋めていくのではなく、Tak.さんのように事前にブレイクダウンしたり、ボトムアップしたりしておくようにしたのです。
つまり,過去に向かっていたアウトラインを,未来に向けるアウトラインに変換するのです。
あとはコンプリートにチェックを入れる。場合によってはその項目がさらに上位のDaysや,さらにその上のALLなどのアウトラインを行き来する。
実にダイナミックです。
現在とそれに続く未来を作っているという感覚です。
タスクリストだけでなく,その日に思いついた数々のメモも同じ場所に書きならべられていく。
そして,いつのまにかその日の記録ができていきます。
今朝作っておいた「未来の自分物語」の完成です。
この作業のなんと楽しいこと。
そして,この書評もそのようにして生まれました。
週末の朝,コメダ珈琲で本日のDAYSを書いていた時,「Tak.さんの本の書評を書く」という本日やりたいDOの下に、そのまま一気に書かれたものです。
そして、このメルマガの記事それ自体が、自分物語の中の一部になっていくのです。
タスク管理は,人生の物語を書くこと。アウトライナーはそのために最適なツールである。
Tak.さんのこの本もそのようにして作られているのです。
それは,決して単なる「アウトライナーを利用したタスク管理」ではなく、アウトライナーの思想を知り尽くした「アウトラインフリーク」Tak.さんにしか書けない骨太の「アウトライナー的自分物語執筆論」なのでした。
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