Scrivener for IOS が配信されてもう数日経ちました。
その間、外での書き物に使ってみて、その良さについて考えてみました、
詳しい位置付けやアプリ自体の概要について倉下忠憲さんがブログで書かれています。とてもわかりやすく書かれていますのでぜひご参照ください。
R-style » ScrivenerにiOSアプリが登場。さて、ファーストインプレッションは
iOS版はそのモバイルタイミングを埋めるものと言えるでしょう。
「モバイルタイミングを埋めるもの」という表現はとてもよくわかりました。私にとっての役割もここにあるなと思いましたので、そのことについて書いてみたいと思います。
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目次
「中断してはならない」
私には、ブログで発表しようと思って書きかけてそのままになっているお話が現時点で2つあります。書籍にしようと思って途中で頓挫したままになっているものは3つあります。合わせて5つの生産物が日の目を見ないまま、PCの中でその時を待ち続けています。
でも、一旦頓挫したこれらの生産物がまた日の目を見るのはとても難しいことです。
書き始めた時にはそれなりにモチベーションがあります。出来上がった時の喜びが目の前すぐにあるような気になり、エンジンを全開にして書き続けます。
平日にはとても書けませんので週末にカフェで、という流れになっていきます。その時間はとても楽しく、自分は知的生産を行っているという満足感でいっぱいです。
ところが3週間目になり4週間目になってくると、すぐ目の前にあると感じていた完成の時が、蜃気楼のようにどんどん遠ざかっていくのを感じ始めます。
その感覚はある程度出来上がってからの方が強く、編集者がいないセルフパブリッシングの難しさの前で四苦八苦し始めます。
そのうちに仕事がやたらと忙しいフェーズに入り、週末の時間も当然それに巻き込まれ、知的生活自体が危うくなるに及んで、私の著作作業は一旦中断となります。
数ヶ月して多忙フェーズから抜け出た時にはもう、あの夢のようなモチベーションは残っていません。中断した時の、あの苦しさが思い出されるだけです。
その後、何度かScrivener for WindowsやMacを開いてみることはありますが、二、三箇所手を入れるだけでそれ以上作業が進むことはもうありません。したいこと、やりたいことが後から後から次々と押し寄せてくるからです。
そしてそのままお蔵入りになってしまうのです。
ここから、わかること
私にとって必要なことは、決して書く作業を中断してはならないということなのです。
このような知的生産にとってはレジリエンス能力が必要なことは間違いないのですが、他の人にはできても私にはできない。
それは、中断しているうちにしたいことがどんどん湧いてきて、していたことへのモチベーションを全部上から塗りつぶしてしまうからです。
私はそんな人間です。これは私の感覚の問題なので、なかなかフランクリンプランナーなどの行動設計でも対応できません。でも、続けてさえいればモチベーションを保てます。
では、このScrivener for IOSは、私にとって続けることができるツールになっているのでしょうか。
「続けるツール」としてのScrivener for IOS
安心して同機できる
1つ目は、完璧な同期です。
Scrivener for IOSの登場まで使っていたscrivoでは、同期やアップロードの概念が私にはわかりにくく、iPhoneで書いた章が、PC版で表示されるものとされないものがあり、一旦PC版でセーブしてもう一度同期をやり直そうと思ってiPhone版で開いて同期したら、ファイルがなかった方のPC版の方に同期されてしまい、書いたものがなくなってしまったことがあります。
また,なぜかわかりませんが,同期できないファイルと表示されるものもあります。これは原因がわかりません。
このようなことがあり、使い続けるためには結構いらない気を使わなければなりませんでした。私としては、同期とは,「こっちで書いたらこっちでも自動的に」というSimplenoteのような動作だと考えてしまうので、それに注意力を削がれることが残念でした。
それでも慣れてからはなんとか使ってはいました。でも、そういう状況ではなかなかモバイルとして隙間を埋めるというところまではいきませんでした。モバイルで隙間を埋めるためには、最初の痛い経験があり,ハードルが高くなってしまいました。
でも、Scrivener for IOSは、さすがにご本家ですから完璧です。
アプリを開いた途端、同期するかと聞かれはしますがすぐに同期を始めてくれます
そしてそれは完璧です。
書斎でPC版でやっていた書き物の続きを、私はバスの中で行うことが簡単にできるようになりました。
全体の構想が見える形で同期できる
2つ目は、文の構造が見える形でしっかりとPC版と同期を取ることができるということです。
文字の付加修正だけではなく、構造上の入れ替え、上位下位への移動などもPC版での変更がすぐに反映されます。
だから、長い作品でも安心してピンポイントで「ここを付加しよう、修正しよう」ということをしやすい、ということが挙げられます。
この点,scrivoでも問題なく構造への編集は反映されます。よくできているなと思います。
それぞれの画面を上げておきます。ファイル選択画面は,ScrivoのほうがScrivenerっぽいですね。
ファイル選択画面
Draft画面
今の所、この「安心して同期できる」「構造の編集がそのまま反映される」という2つの点で、私にはScrivener for IOSがモバイルとして隙間を埋めてくれるツールになってくれると感じています。
とくに、モバイルという点で、iPhone版を使うことが多いです。バスの中でも公園のベンチでもかけますからね。
そういう点で、Scrivener for IOSはscrivenerの代替物になるものではなく,「モバイルタイミングを埋める」ツールだということが、わたしには役立つということになります。
HandyflowyやOmniOutlinerがあるじゃないの
ところで,モバイルタイミングを埋めるならば,HandyflowyやOmniOutlinerがあるじゃないの,といわれそうですね。
その通りだし,それで何も問題はありません。
私の場合は,上にあげた5つの著作物のうち3つはセルフパブリッシングを予定しているものなので,初めからScrivenerで管理していました。途中でCompileして書籍ビューワーで確認しながらできあがりをイメージしてつくっていくのが私に合っていたからです。
分量もかなり大きなものなので,WorkflowyやOmniOutlinerは使いませんでした。
ブログで発表しようと考えていた2つについては,ひとつはEvernote。ひとつはOmniOutlinerです。
これについては,モチベーションががくんと下がってはいますが,ちまちまと「モバイルタイミングを埋める」を行ってました。
でも,今回 Scrivener for IOS が出たのをきっかけにOmni Outlinerから移しました。例のアレです。気分です。こっちのほうがスピードがあがるかな,と思って。
でも,やってみてなるほど,と思ったのことがあります。OmniOutlinerで書くよりも,Scrivener for IOS で書いたほうが集中できると感じたことです。
きっと,Scrivener for IOS は,(Scrivoもですが),ひとつひとつの章がそれぞれ独立した別のリッチテキストになっており,いったん開いたらその章を書くことのみに集中できるからかなと思います。OmniOutlinerでは書いている最中にあれやこれや思い出し,それをどんどん加えて段差をつけて・・・ということをやっていたので,集中がきれることがありました。
いや,実はそれができるのがアウトライナーのよさですが,どうもお話などをずらずらと吐き出す時には,別ファイルのほうがよさそうです。私にとっては。
ということで,Scrivener for IOS に期待してます。
これから
さて、ここまで書いたからには、お蔵入りになっている生産物は日の目を見るのだろうな、ということになり冷や汗が出ます。
残念ながら、そのうちふたつについては完全に旬を逃しました。今書いてもほとんど価値のないものになりそうです。何がしかの視点を与えて構成し直せばなんとかなるかもしれませんが、今のところそこまでしようとは思っていません。この2つについては今後もお蔵入りのままです。
残った3つについてはなんとかなりそうです。夏季休業に入り、少しは時間が取れるようになったので、お盆の間に一気呵成にやりたいところです。
そうはいっても,実は一気呵成に形を作り上げてしまいたいことが他に2つほどあり、なかなかうまくはいかないものです。
しかし、Scrivener for IOSのおかげで確実に歩を進めて、日の目を見させてやることができれば2400円払った意味があると思います。
以上、わたしにとってのScrivener for IOSの役割について考えてみました。
販売元: Kairoos Solutions S.L.
価格: ¥1,800
generated by PressSync on 2016年7月24日
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