Podcastはナマモノでいいというお話

PodcastとYouTubeとはかなり違いがあるなということを感じた。

感じた、と書くと今さっき感じたことのように思われるかもしれないけど、実際に感じたのは、しばらく前の話。

ちるにーさん（@chilny）のPodcast，ナマモノラジオのこの回を聞いてからだ。

僕は，この配信を聞いて，Podcastの作り方が変わってしまった。

YouTubeでは，一般的に「あ〜」とか「え〜」とか、「んーとね・・・」などの間を埋める音が許されないこととされている。

視聴者はどんどん情報を求めてチャンネルを切り替えるので，悠長にしゃべっていては，すぐに離脱されてしまうとされているからだ。

実際にはそんなことはなく，動画の種類によるのだが，YouTubeの中の「すごい人」たちはこぞってそう言っているのでそれが一般的な気がする。

しかし，Podcastでは，それは許されるというか、むしろ好まれることがある。

Anchorで個人のPodcastが増え始めてきた頃、ぼぐが好んでお気に入りに入れたのは一般の人のPodcastだった。

たどたどしい、しかし初々しいその語り方は、聞いていて「自分だけに直接話してくれている感覚」を覚え、好んで聞いていたのだ。

音だけで聞かせるラジオに、似た視聴感覚だった。

それは、うまいとか下手という捉え方ではなく、素朴な人の息遣いという範疇に属するもののような気がする。

僕はそのような番組を好んで聞いていたのだ。

しかし，僕のPodcastの作り方は違った。

人様に聞いていただくのだから，音はできるだけ質がよくなるよう，Auditionなどで編集した。

さらに，間や「あ～」とか「え～」などを削除して，聞きやすいように切り貼りしていた。

言いたいことがスムーズに，さっさと人に伝わるよう，心がけていたわけだ。

この感覚は，YouTubeの方から来てPodcast始めたということが影響していると思う。

僕は，自分の聞き方の好みとは違う作り方をしていたのだ。

しかし，冒頭に紹介したちるにーさんのPodcastを聞いて，「ああ，よかったんだ。ナマモノのままで・・」と思った。

ちるにーさんは，２０００年代中頃の最初のPodcastブームの頃から聞いてらして，それらを支えたいたPodcasterたちとも親交がおありだ。

その関係でご自分も「ナマモノラジオ」というPodcastを配信しておられる。

ときには，「寝る前にお布団の中からこんばんは」とささやくように収録している回もある。

そのPodcastの紹介文は「布団の中からなのでガサゴソいいますゴメンナサイ」である。笑ってしまった。

まさにナマモノ。なんの編集もなく，その場での息遣いのまま，送られてくるナマモノの声。

僕は，こんなPodcastが好きなんだ。

そんなちるにーさんが，冒頭のPodcastで配信していたこと

それは，きちんと構成されたラジオのようなPodcastのよさもあるけど，録って出しの息遣いが感じられるPodcastの方が好きだ，Podcastアワードは，きちんとつくられたラジオを評価する方によっているけど，録って出しのPodcastのよさもあるんだということ。

「あ〜」とか「え〜」とかの音が入るようなPodcastが、好き。

Podcast awardに選ばれているのはみんなきちんと作られたものばかりで、偏っている気がするという話。

私も深く賛同する。

きちんと構成されたPodcastは、それなりにとても聞き安いし、何かを学ぼうとする人にとっては、「あ〜」とか「え〜」ば邪魔な音でしかない。

ところがPodcastの需要は何かを学びたいということばかりではないのだ。

「え～」「あ～」の語りが心地よくてお気に入りに入れて聴き込んでしまうというようなことはよくある。

僕のお気に入りには、学び系もつぶやき系もどちらも入っている。

聞く用途が違うのだ。

そういう意味で、Podcast awardの選定が偏っている気がする、というちるにーさんの言葉に心から賛同した。

そして，僕のPodcastの作り方は変わった。

録って出しの息遣いの需要。

そこが、YouTubeと本質的に違うところではないか。

YouTubeには、逆に言葉は一切出さず、動画とキャプションだけで見せるものがある。

そのチャンネルには何十万人もの登録者がいる。

私も好きでよく見る。

目が釘付けになる。

ただのおじさんの無言動画なのにである。

語り手を必要とせず、基本的に絵だけで見せることだってできるYouTube。

声だけで勝負するPodcast。

この相反するメディアを捉えたとき、Podcastには、YouTubeにないつぶやきというラジオ的ジャンルがもっと評価されていいと思う。

ちるにーさんのナマモノラジオ

この「ナマモノラジオ」という名前にも、録って出しの息遣い魅力を感じるちるにーさんの想いが込められているなと思う。

この，布団の中からつぶやくナマモノラジオ，ぜひ聞いていただきたい。

「自分だけにこっそり」おしゃべりしてくれている感満載だ。

Podcastって，こういうのも大いに需要ありなのだ。