タグってなんだ?
初めて「タグ」というものの存在を知ったのは、ブログが流行りだした2000年代初頭からしばらくたってからのことです。
アメリカでは9.11以後、個人による情報発信が爆発的に増え、一気にブログが広まったと聞きます。
日本では、まだまだサイトをHtmlでちまちまとつくっていた時代でしたので、日本で流行り始めるには数年のタイムラグがありました。
私も最初のブログをつくったのは2004年のことです。
それまでは「楽天広場」を使ってました。
まだブログという概念ではなく、個人が簡単にWeb上でホームページをつくれる、しかもメニューなどはエントリーを書くと自動でつくられていく、という今で言えばCMSなんですが、当時はなんてすごいもんだと思って「更新作業が自動化されたホームページ」をつくる感覚で楽天広場で日記を書いてました。
この楽天広場にトラックバック機能などがつきブログ化するのがたしか2005年。日本でも本格的にブログ文化が始まった頃でした。
こうしてブログサービスが乱立していく中,「自前のブログ」というものがつくれるようになっていきます。
そう。
Movable Type やWordPress を使ったブログシステムの登場です。
自分ですべてのことをカスタム化できる本格的なブログ時代の到来です。
そこに「タグ」という概念がもちこまれていたんです。
その頃はまたタグというものの持つ意味がわかりませんでした。
カテゴリとどうちがうの?と思っていました。
しかし使っていくうちにタグの持つ意味がわかったとき,驚愕しました!
それまでのデータベースがどうしても叶えられなかった悩み
「これはどのカテゴリーにも入る。どっちに入れたらいいんだ?」
というあの悩みを解決してしまったからです。
「どっちの袋にいれたらいいんだ?」問題
詳しく説明します。
以前紹介した「山根式袋ファイル」などのデータベースを例にとります。
山根式袋ファイルシステム 86年から使い続けている書類のデータベースシステムです。
このデータベースは、まさに実物の書類データベースであり、20数年使ってきていて未だに現役です。
この袋にデータである書類を入れる時、いつも悩んでいました。
「これ,どっちの袋にいれたらいいんだ?」
そして、白紙を1枚用意してそれをコピーとし、
「このデータの実物は◯◯という袋にはいっているよ」
と表示したものを入れておくことで解決していました。
つまり、同じデータの複数保存という形で解決していたのです。
これもひとつの解決法ではありました。しかしスマートではありません。
PCのデータベースでも同じことがおこりました。
データベースの項目に「キーワード」というものをつくって検索につかっていましたが、このキーワードには言葉がひとつしか入れられないのが普通でした。
だから、さっきのような悩みを解決するために,
データベースの設計時にキーワード1,キーワード2,キーワード3というようにキーワードのフィールドを3つほど作っておいて「どっちに入れたらいいんだ?」問題を解決する
という方法をながくとっていました。
複数カテゴリー,複数キーワードのジレンマ。これは、データベース構築についてまわることだったわけです。
初期のブログもそうであったと思います。
記事を何らかのカテゴリに位置付ける時、
このカテゴリにも入るが,このカテゴリにも入る
というような時にいつもどちらに入れたらいいのか、どのように解決したらいいのかも常に悩んでいたものです
救世主「タグ」
ところが長年続いたこのジレンマをタグが一気に解決してしまった
カテゴリーがデータを入れる袋だとすると、タグは文字通り袋に貼り付けるタグ。シールです。
シールですから同じ袋に何枚でも貼り付けられます。
そして素晴らしいところが,「このタグがついている袋だけ」検索で引っ張ってこれるのです。
釣り人が,いくつもの釣り針で同じタグの付いた袋をひっかけて,同時につっているイメージですね。
どの袋,カテゴリーに入れるのかは悩まずにどれかに入れておき(またはなんの袋にもいれずに!)タグをポンポンと貼りつけていきさえすれば、あとから同じタグのものだけ引っ張ってこれる。
逆に言えば、このAというデータはこのタグからも、そのタグからも、あのタグからも引っ張ってこられることができる。
[st-kaiwa2]カテゴリーは袋。タグはシール。というわけね。[/st-kaiwa2]
[st-kaiwa1]入れる袋はひとつだけだけれども,シールはどの袋にでも貼ることができるということだね。[/st-kaiwa1]
ブログのタグの概念をデータベースでも使いたい!
このすごさに気づいた時、なんとかして自分のデータベースシステムにこのブログのようなカテゴリとタグでクロスリファレンスできるシステムを作れないかと思いました。
ブログだってデータベースですから,当然できるはずです。
WordPressで新しくデータベース用のブログを立ち上げてデータベースとして使う,というのがよい解決法でした。
だれにもひらかない,私だけが閲覧できるデータベースとしてのブログです。
当時同じことを考えていた人もいたようですね。
しかし,当時の私は,noindexなどでGoogleにインデックスされないようにするなどの知識がなかったので,ブログにデータベースを上げると,いつの間にか検索されてしまう,と思って断念。
ローカルで作れないかといろいろと悪戦苦闘しました。
一時期はXampなどをつかって、ローカルホストにWordpress環境をつくり、ローカルブログという形で教育に関するデータベースの構築を始めることもしました。
それが2009年夏頃のことでした。
ローカルに構築したブログ形式でのデータベースは検索にはとても便利でした。タグを複数のデータにどんどん貼っていきさえすればどんな検索でもたちどころに欲しいデータを引っ張りだしてこれるのですから。
20年間続けてきたデータベース構築の悩みが一気に解決してしまいました。まさに有頂天。
ところが、ローカル環境だからWordpressのデータ構築は速いだろうと思っていたらなんとWeb上にあるよりもすごく遅かったのでした。
ひとつの記事の更新に何十秒もまたなければならない状況では実用になりません。
記事が500〜600ほど溜まった時点で頓挫。
構築にも検索にも時間がかかりすぎるデータベースは,いかに検索性にすぐれていても使い物になりません。
私の夢は一夏で終わってしまいました。
がっかり。
Evernoteがすべてを解決した
そんな時、私は出会いました。
2009年の秋です。
そう Evernoteです。
その時の、わたしのとびあがらんばかりの喜びはいかばかりであったか、同じ経験をしてこられた方にはおわかりのことと思います。
- ブログのようにタグを自由自在に使って検索できるデータベースシステムを
- ローカルで管理できるようにしてくれたEvernote。
私は,携帯でEvernoteを使うためという理由で,ガラケーをやめ,iPhoneにしたのでした。
Evernoteを使い始め11年になります。
感謝しています。
いまでは当たり前になってしまった,個人データベースの構築や,タグによる素早い検索を手に入れるために,10年前にはこのようなジタバタをしていたのです。
でもそれも楽しかったです。
自分の望む環境をつくりだすために,あれこれ必死に工夫することが・・。
更新履歴
公開:2013-1-12
前面書き直し:2019-6-8
修正:2020-6-6
追記:2020-11-1
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