ジョン・レノンの「地球の歩き方」
今回は中山康樹「ジョン・レノンを聴け!」
ビートルズ解散後,ソロ時代に200もの曲をものにしたジョン・レノン,その曲一つ一つに1ページを割いて解説した本。
著者の中山康樹さんは、音楽評論家。「ディランを聴け!」「マイルスを聴け!」など多くの音楽評論の著作があります。
一冊出すだけでもライフワークと言えるほどの労作のはずなのに、それを何作も。
しかし中身は、ジョン・レノンが好きで好きで,レコードを擦り切れるほど聴いた人でなければ書けない内容です。
「なんと感動的なオープニングだろう。観
客を巻き込んでの「Power to the people」の大合唱,そこからリズムがひたひたと押し寄せ,一瞬「Back in th USSR」が始まるのかと思ってしまう。そこにジョンが「1」を飛ばして「2,3,4」とカウント,「NewYork City」に突入する。
~期待に胸を高まらせていると,さすがはジョン,リハーサルを積んだであろうのにヨレヨレのヴォーカルで笑わせてくれる。
以下にも昼の部らしい。歌詞もうろ覚え,しかも歌わないパートまである。・・・」
「ジョン・レノンを聞け」
Live in NewYork Cityの一発目「NewYork City」の解説です。
これを読んだら,もう聞いてみないではおれませんでした。
この本を読んだ2006年の僕は,すぐにツタヤに行って、ジョン・レノンのアルバムを全部借りてきました。
そして,当時持っていた最高のmp3プレイヤー iPod nanoに全曲入れて、何をする時にも聞き続けました。
そして,「確かに,確かに」とうなずくのです。
この本は,ジョン・レノンの曲の「地球の歩き方」です。
「ここにいったら,こんな面白いものが見られるよ。」
「あの店の料理はまずいけど,これだけはうまいよ」
「知らないと思うけど,その料理を食べたいならそっちじゃなくてこの店」
そういうお話が満載。
「リハーサル曲の方が純度も高い~ジョンのソロ時代の最高傑作,実はこの5曲ではないか」
このような表現が随所に出てきます。
僕は,ジョンの未完成の曲のすばらしい「完成度」を好んで聞くようになりました。
「まだできてない」曲の粗削りのジョンレノンの魅力。
「生きてるジョンがここにいる!」と感じさせてくれるのです。
僕が感じるジョン・レノンの魅力。
この本は,僕にそんなジョン・レノンを教えてくれました。
ソファに寝そべって,ジョン・レノンをかけ,ビールを飲みながら,ページのめくり,「うふふ」となるような読み方がおすすめ。
だって,地球の歩き方だから。
ジョンと僕
僕はジョン・レノンが大好きでした。
まだ、The Beatlesのメンバーの名前さえ知らなかった1974年,中学1年のお正月。
僕は初めてラジオカセットを買ってもらいました。
その時に初めて聞いた「洋楽」がジョン・レノンの「マインド・ゲームス」でした。ベストテンの1位だったのです。
今でもよく聞きますし、バンドの仲間とカラオケに行った時には必ず歌います。(声、出ませんけど)
その人が、ビートルズの一員だったことを知るのは、それからしばらくしてからのこと。
「あの,MindGamesのJohn Lennonって,ビートルズだったの?
え? Jet のPaul Mccartney も?え?え? ビートルズすごい!」
僕は,そんなビートルズとの出会い方をした,いわゆる「第2世代」という人類です。
その後、80年にピストルに打たれてなくなるまでの7年間、僕はリアルにジョンレノンと同じ時代を生きていました。
しかし、ビートルズとしてのジョンレノンの曲は何度も何度も聞き返したのに、ソロとしてリアルタイムにリリースされていたアルバムにはあまり興味はありませんでした。
イマジンのアルバムを友達から借りて、それを何度も聞き返したくらいです。
当時オノ・ヨーコが大嫌いで、彼女がビートルズを解散させたんだと思っていましたので、ソロとなったジョンを聞くことにあまり興味を持てなかったのです。
また,1975年頃は,エルトン・ジョンをコラボしていたくらいで,あまり表面には出てこなかったこともリアルなジョンに興味をあまり持たなかった要因の一つでした。
「ジョン・レノンを聴け」は,そんな私のジョン・レノン観を根底から変えてしまいました。
そして,ソロ時代のジョンの曲に猛烈に興味を持つようになったのです。
今でも、ドライブをしながらよくジョン・レノンを聞きます。
一人で大声をだしてマインドゲームスを歌います。
ジョンといる,幸せを感じています。
こちらの記事もどうぞ
私のメルマガで配信している書評を記事にしてまとめています
コメント
[…] 🍏 ジョン・レノンを聴け […]