長年の自転車乗りで、若い頃からロードバイクを乗っていました。軽快に街を走るのがとても気持ちよかったので、よく乗っていました。
しかし、年を取ってくると、赤信号で止まるたびに走り出すのが億劫になってきました。最初の踏み込みがだんだんきつくなってきたんです。
街乗りを楽しみたいのに、その「踏み出し」が面倒で、だんだん自転車に乗らなくなってきました。
思い切って電動アシスト自転車を買ってみました。
今頃買ったのか、と言われそうですが、子供の頃からの自転車乗りの僕に、アシストしてもらう自転車を買うという選択肢はこれまでなかったんです。
自分で漕ぐからたのしいのであって、「アシスト買ったら負け」みたいな妙な意地もありました。
それに、半信半疑でもありました。そんなに違うものなのかなという気持ちです。
でも、実際に乗ってみると全くこれまでの印象が変わってしまいました。
初めて信号で止まり、青に変わりペダルをひと踏みしたとたん、スッと前に滑り出すように進んでいったのです。
まるで背中を軽く押されたような感覚で、足に無理な力がいりません。あの“ヨイショ”という踏み込みがなくなり、自然に走り出すことができました。
これには参りました。
そして、赤信号で止まるのが嫌じゃなくなりました。信号が青に変わる瞬間が、楽しく感じられるなんてびっくりでした。
坂道でも、その変化ははっきりと感じました。
以前は24段変速のロードバイクに乗っていましたが、どんなに軽いギアにしても、立ちこぎしなければ登れない坂がありました。
ところが、アシスト自転車では、なんとサドルに座ったまま登り切ることができるのです。これにはびっくりしました。
息を切らさず、風景を眺めながら登れることが、こんなにも気持ちのいいものだとは。
「移動」が「運動」から「楽しみ」に変わりました。
街の見え方まで変わります。信号待ちのあいだに、道端の花や街路樹に目がいくようになりましたし、思いもしなかった道を見つけて気軽に入っていくことができるようになりました。
まさに街乗り。
買ったら負け、と意地を出していた電動アシスト自転車。
でも実際に乗ってみると、年齢や体力に関係なく、余裕を持って動けることこそが、日々を心地よくするのだと感じました。
なんでもっと早くかわなかったんだろう。
自転車での街乗りは本来楽しいことのはずでしたが、だんだん億劫になってきていました。しかしまた楽しい気持ちが戻ってきました。
街乗りは楽しい。

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