私のメルマガ「知的迷走通信」で毎週金曜日に配信している「Lyustyleの読書」のアーカイブ記事です。
メルマガでは,現在 私が読んだ本の紹介「Lyustyleの読書」を行っており,現在27冊の書評を行っています。漸次こちらでも紹介していこうと思います。
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金曜日は.今週私が手に取った本からお届けしています。
今日お話しするのは「樹木たちの知られざる生活」
ジュンク堂で本を求めてさまよっていた時にふと「私を手に取って!」とうったえかけてきた本です。
手に取ったとたん,目からウロコが数枚零れ落ちました。
樹木は、助け合います。
樹木は叫びます。
樹木は仲間に危機を知らせます。
樹木は学び、それを覚えています。
そして、移動さえします!
そんなこと思ってもみませんでした。
しかし、ドイツの森林管理官ペーター・ヴォールレーヘンによると、全て確認された事実なのです。
例えば,樹木は助け合うということについて
500年前に切り倒された切り株が、周囲の木々から栄養をもらって生き延びていた例が示されています。
木はお互いが,水や日光を奪い合うためのライバルであると思っていました。しかし,樹木は社会をつくり、ライバルとも栄養を分け合うのです。
それは,協力し合うことで生きやすくなるからです。
もし,木が弱って倒れたら,その空間に光が差し込みます。風が吹き込みます。適度に湿っていた空間が乾燥し,生きにくくなってしまうのです。
だから,どの木も例外なく貴重な存在。死んでもらっては困る。だから,樹木はお互いを守り合います。
根が繋がりあったなかよし同士は、時には同時に死んでしまうほど、親密な関係になるそうです。
例えば,樹々には言葉があるということについて
また,樹木には言葉があるということについては驚くべきことが述べられています。
アカシアはキリンに葉を食べられると有毒物質を葉に集めて食べられにくくします。
が、別のアカシアにも危険が近づいていることを気づかせるために警報ガスを発生するのです。
それを感じたアカシアたちは有毒物質を準備し始めます。
しかし,キリンもまたそれを知っています。だからかなり離れたところにまで移動して別のアカシアを食べるということです。
どちらもすごいです。
このようなことが次々に述べられ,息をつかせません。
しかし、これらの強い友情は天然の森林の中でしか見ることができず,人間が栽培している植林場では樹木はネットワークを作ることができず,孤独のまま一生を過ごします。数十年で切られてしまうので,森林のように何百年も生きることはないのですが。
手助けのつもりで余計なことをする
木を助けるつもりで密集している樹木からまびいていくと,ネットワークが寸断され,残された樹たちの交流が途絶えてしまいます。
一本一本が自分勝手に成長することになります。
1部の樹木だけどんどん光合成をして糖分を蓄えて健康でよく育つが,ネットワークがないので自分が弱ってきたときに助けてもらえません。長生きすることができないのです。
核家族化した社会に思い当たります。
それぞれのネットワークが希薄になっている中、孤立化し、いきにくくなっている家族の報道がいかにたくさんあることか。
勝ち組、負け組の、格差が開くことがその国が栄えることになる、という人もいますが、それはその後の「分け与える」ということが機能して入ればの話。蓄えたた栄養を、連携によって分け合うから、森自体が健康になるのです。
「社会の真の価値は、その中の最も弱いメンバーをいかに守るかによって決まる」という言葉が示されていました。
この言葉は樹木が教えてくれたのかもしれない、とは、著者の弁です。
樹木というものについての認識を根底から変えさせられるだけではなく,人生,教育,社会などについてさまざまに考えさせられる一冊となりました。
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