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初めてWalkmanを見た1979年のあの日

黎明記

1979年秋。

僕は大学一年生だった。

その日、僕は一生忘れられない光景に出会う。

同級生なのに何故か歳が四つも上の「先輩」が、それをつけて学校に、来た。

頭にヘッドフォンらしきものをつけた奇妙ないで立ちだった。

ヘッドフォンにしては小さいが、両耳にイヤーマフらしきものがついている。ヘッドフォンの形状そのものだ。

イヤホンはつけて外へ出るが、ヘッドフォンをつけて外に出るなど見たことがない

学生食堂でその先輩が僕の頭にヘッドフォンをつけてくれた。

その瞬間、何故かそこからステレオサウンドが飛び込んでくる!

「?!?!?!」

何故、コンポもないのに、ステレオの音楽が聞こえてくるんだ?

(コンポーネント。レコードプレイヤー、テープデッキ、チューナー、アンプ、スピーカーからなる一式のオーディオ装置)

 

当時、音楽は部屋で聴くものだった。

時折ラジカセを外に持ってでて鳴らすことはあった。

しかし、歩行者天国でラジカセの音楽をかけながら集団でダンスを披露する竹の子族がはやるのはその数年後。

一般の人々が外でラジカセを気楽に聴く時代ではなかった。

 

だから、私たち仲間は仰天した。

そもそも聞こえてくるのはステレオサウンドだ。

ポータプルラジオは1960年代からあったので、モノラルイヤホンをつけてラジオを聴きながら散歩をするという習慣は当時の人にはあった。

私の父もその一人だ。

 

しかし、ステレオのヘッドフォンをつけて外で聴く、というような習慣も、ものもなかったのだ。

 

「いったいこれはなんだ!?」

先輩は、自慢げにバッグから小さな箱を取り出して見せた。

それがWALKMANだった。

これまでにもミニカセットテープレコーダーはあった。

しかし、これはそれまでにまたどのミニカセットレコーダーよりも小さい。

そして、語学練習のためではなく、音楽を、それもステレオサウンドで聴くことができる物だった。

 

僕たちは、見たことも聞いたこともない、これまでの世の中にはなかったものの出現を理解しようと感覚を研ぎ澄ませた。

世の中、どうなってるんだ。

いったい何が起こってるんだ?

 

80年代に入り、世の中は一気に変化していく。

ポケット電卓、ポケットコンピューター、家庭用テレビゲーム。

ワープロ、パソコンの出現と普及

そしてパソコン通信。

 

1990年までのたった10年で、ものすごい変化が起こった。

1979年秋。

その最初の場面に僕はいた。

インターネット前夜から2000年初頭の黎明期記事まとめ

80年代と言う黎明期に一体何が起こっていたのか。

更新履歴

2020-1-20 公開

2021-1-6 修正

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