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乱読でもいいからたくさんの本にあたり,そこから何度も読み返す本を見つけたい

知的迷走日記保管庫

時間との勝負に勝つ読書とは

本を読む時間は限られている。

その時間でいかに多くの本を読むかということを考えるか

その時間でいかに豊かに本を読むかということを考えるか

時々そんなことを想う。

 

読書は人生という時間との勝負である。

その勝負に勝つということは、多くの本を読んだことなのか、それとも量は少なくともその本,その作家を何度も読み,深く理解することなのか。

 

多くの本を読むのは望ましいが、世にある全ての本を読むことはできない。

自分に与えられている時間と、目の前にある本との折り合いをつけながら、選んで読む必要がある。

ある本を読んだら、その作者が紹介している本や作家を読みたくなる。こうして本が広がっていく。

その中からは、ひっかかりがある本や、すばらしい知的興奮を得られた本がでてくる。それらの本をまた読みたい。

そうなったとき、

 

また読みたい気持ちをこらえて、他に、他に・・・と量を増やしていくのか。

もう一度、いや何度でも読み返して、その本の理解を深めていくのか。

 

私はできるだけたくさんの本を読みたい。

でも、好きな本を何度でも読みたい。

どちらの読み方もしたいのだ。そしてその選択は自分に許されている。

たくさん読むか,少なく何度でも読むか

私にはどちらの経験もある。

ある本に魅せられて、それをぼろぼろになるまで何度も何度も読み返した経験。

あるいは,ある本の中で言及されていた本に興味を覚え手当たり次第に求め全部読んでしまい、さらにそこから別の作家、別の本への興味が生まれ、時間が許す限り読み広げていった経験。

どちらの経験もすばらしかった。

どちらのよさもあるのだということを知っていてどちらの否定もしない。

 

今、私はまたこの本を読み返したい。

今、私はこの分野についての本をどんどん読み広げたい。

どちらも素敵な読書ライフだ。

「私の古典」をつくる読み方がしたい

しかし、できれば、一生のうちに何度もボロボロになるまで読み返す私にとっての「古典」がいくつかできたらいいなと思う。

それは、きっと多読であるか少読であるかにはこだわらないのだ。それは、いかに本を選択したか、いかに大事に読んだかによるのだと思う。

 

多読であろうがなかろうが、つまみ食いでなく大事に読んだ本の中から、繰り返し読む本は見つかるのだと思う。

「自分の中で軸となる作品のことを、カノンと呼ぶ。自分にとってのカノンを見つけると言う事は、その人固有のカノンを見つけるという事でもある。「ドンキホーテ」はアインシュタインのカノンだった。病気で調子が悪い時などに、よくベットで読んでいたそうだ。168 #頭は本の読み方で磨かれる 」

つまみ食い読みが悪いわけでもない。とにかくその分野における知識を求めたい時には、広く読むためにいかに少な時間で読み上げるか、そのためにさっと読んで読む価値なしと思えばすぐにすてて他の本に移る,という読み方が必要なのだ。

論文を書く時に、これと思った本を何冊も積み上げ、ざーっとサーチするようにな読み方が必要だったこともある。

しかし、高村光太郎の一遍の詩を、時には書き写し、時には音読し、時には暗唱しながらなんども自分の中で転がし、空を見上げて考えにふけっては涙したという読書の仕方もある。

仕事なり勉強なりで読む読み方と、個人の楽しみで読む読み方との違いということも言えるだろう。

おそらく「一ヶ月に100冊読んだ」とか「1年で1000冊読んだ」ということを話題にしている人は、きっと仕事か個人の勉強で、さらに幅広い知識を得なければならない時に読む本のことをいっているのだ。

「本は初めから終わりまで読まなくてもいいのだ」というのはきっとそのような本の読み方にはあてはまるし、正しい。仕事や勉強で必要な幅広い知識を得るために読む本を最初から最後まで味わって読んでいたら、時間がいくらあっても足りない。

しかし、ある分野を掘り下げようと思ったら、そういうわけにはいかない。それこそ、その本を始めから終わりまで舐めるように読まないと深く理解することはできないのだ。

きっとそれは聖書の読み方なのだろう。

「聖書しか持たず、その内容をよく知っている多くの農婦が、いわゆる贅沢になれた金持ちが自分の高価な蔵書で一度でも得ることができるよりも、はるかに多くの意味を聖書から読み取り、多くの知識となぐさめと喜びを汲み取ったものであった。48 #ヘッセの読書術 」

「読書百編意自ずから通ず」という言葉も同じことを言っているのだ。

乱読つまみ食いでもいいから、たくさんの本にあたり、その中から自分のテーマ、掘り下げる井戸を見つけたら、あとはその分野をじっくりと掘り下げていく。そしてそこから自分が生涯にわたって何度でも読み返す本を見つける。

私の本の読み方というのはそのようなものでありたい。

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