教師になってからはスケジュール管理が必要になりましたので、いつもポケットに小さなスケジュール帳をいれていました。

まだまだ時間の使い方などがわからず、夢中で毎日をすごしていました。
情報をインプットしてそれをいかそうなどという心の余裕はなく、この時期、詩や気になる記事、読んだ本のメモを書き留めた手帳は残っていません。
しかし、おもしろいことに、一人になってほっとしたときに、胸ポケットからスケジュール帳を出してじっと見つめている時、私は実に至福な時をすごしていたのでした。
自分が書いたスケジュールをじっと見つめながらほっと安心したひとときを過ごしていたのです。
これはいったいなんだろう。
たんなるスケジュールの確認にとどまらない、やはり「味わう」という手帳の見方でした。
今ならわかる気がします。おそらくすでに過去のものになってしまったスケジュールを見て、いろいろと思い出していたのです。
スケジュール帳は、未来の計画であると同時に、おわってしまった計画の記録としての意味をもっています。
私はその「記録」の方をみながら、子どもたちの顔、人との出会い、授業のことなどを考えて「味わって」いたんじゃないかな、と思うのです。
次回は、「味わう手帳」にカード型メモシステムが登場します。
これが私のその後の30年を大きく変えました。