背中をおしてくれた「ゼロから始めるセルパブ戦略」(倉下忠憲)

2016年8月17日

倉下忠憲さんの、「ゼロから始めるセルパブ戦略」を読みました。

現在、KDPを利用してセルフパブリッシングをしようと3度目の挑戦中です。これまで2度挫折しています。今度こそ完成にこぎ着けようという決意と、でもこれが3度目の挫折になるんじゃないかという不安で気持ちがぶれながらも、なんとか一気呵成に完成にこぎ着けようと、記事の執筆と校正に可処分時間の大半をかけている状況です。それでもまだ気持ちがぶれています。

そんな中で、私の背中をぐっと押してくれる本でした。実によいタイミングで読ませていただいたと思っています。

この本は、著者が「毎月一冊電子書籍新刊発売計画」に基づいてセルフパブリッシングをしてこられた体験の中から、導き出された教訓、そして今後のセルフパブリッシングの展望について教えてくれます。

特に私の心に刺さったのが、「ロングセールをねらう」ということです。

リアルな書店では、せっかく書籍を出版できたとしても、後から後から押し寄せてくる新刊からその座を追われ、書棚から見つけるのも難しくなっていき、または引き上げられてしまうことがあります。

電子書籍では一度出版すると引き上げられることがないため、ずっと書店に並べられます。つまり、書店に並べられている間に売り抜くようなことを考えずにすむわけです。これは、内容に需要があれば、そしてそれなりのブランディングが行われればずっと売れ続けるということを意味します。私たちは、よい内容の本をじっくり書いて、書いた後は適切な告知をする、という至極正当な執筆をすればいいのです。そういうロングセールを狙える本を私は書きたいと思いました。

ぼくがしなければならないのはロングセールになり得る本を書くことだと思いました。

その上で、もう一度振り出しに戻ってみたことがあります。

なぜ私は本を書きたいのか。そのために必要なことは?

私は長いこと自分で本を書きたいと思い続けてきました。それはなぜだろうか、よく自問自答してきました。

印税収入の魅力?

印税収入でらくに生活をしたいからかな、と思って改めて心をさぐってみました。

夢としてはすてきです。書けば書くほどざくざくお金が入り、何の生活の心配もいりません。でもおそらくそんなのは夢の話だと言うことを私は知っています。

作家になったからといってそれで簡単に生活できるほどの収入があるわけではないことは、いろいろな作家の方の収支報告でよく知っているつもりです。

また、私たちは公務員ですから生活がきちんと成り立つだけのお金はいただいています。退職後も、自分の教師としてのスキルを活かした仕事がしばらくは続けられそうです。そういうわけで、今の生活のため、退職後の生活のために本を書くという理由はあまり考えられません。

そういうわけで、どうもお金が必要だからというわけではなさそうです。お小遣いが入ってくる程度のうれしさへの期待はまちがいなくあるとは思いますが。

有名になりたい?

次に、考えたのは、作家として有名になりたいからか、ということです。

教師としてのセルフブランディングにかかわることです。「あの先生は本を出しているそうよ」と言われたいかどうかということです。

ところが、教師にとってセルフブランディングというものはあまり職業とは関係ありません。

本を出して有名だから授業がうまいのかというと、そうとも言えるしそうとばかりも言えません。本を出していようがいまいが、授業にはみんな教師人生をかけるのです。

また、「本を出しているあの先生のクラスになりたい」という希望で学級に人が集まり、その報酬として給料が上がるなどということもありません。本を書くこと自体は教師としてのステータスに特にお得感があるわけではないのです。

有名先生になって、テレビや書籍で賑わうという道もあります。

それはそれで尊いことです。教師の道をさらに広げていった姿です。

私自身はといえば、そのことをリスペクトしつつ、それを望んではいません。そっと、地道に教育の仕事を行い、日々の仕事を積み重ね、教師として大成することが私にとって大切なことです。有名になる必要感は私の中にはありません。むしろ注目されると思っていることが出来なくなります。だから、このブログでも名前を出していませんし、今書いている書籍もLyustyle名義で出すつもりです。

新しいことへの挑戦

結局行き着く先は、いつもの「何か自分にとってあたらしいことに挑戦したい」という実に単純な欲求からだということのようです。

2012年に電子出版が個人に可能になってからすでに4年が経とうとしています。なんとかセルフパブリッシングに挑戦して本を出してみたいという気持ち。

これです。とりあえず本を出したい、出せたらいいなと思ってきました。

出す以上はそれにたるものを

しかし、出す以上は、書いたもの、作ったものをたくさんの人に見てもらいたい、そして、「おお、そうだそうだ」と言ってもらいたいのです。そしてほんのちょっぴり「役に立ったか立たなかったかと言われれば、立ったかな・・」とでもいってもらいたいのです。

そうでなくては、20年前に20数万円ものお金をかけて自費出版したことの説明がつきません。

この膨大な人類の叡智のデータベースの中の一部としてだれかが検索し、読んでもらえることで何らかの安心感や希望、背中を押してもらうこと、そのような一部になれればいいなというのが、本を書きたいという私のコアな部分である気がします。

お金はよいもの

その上で、お小遣いが入ってきたらこれは当然うれしいはずです。それは間違いないでしょう。せっかく本を書く以上、お小遣いが入ってきたらうれしいにきまってます。そうしたら、また「書くぞ!」という気にもなるはずです。結果として、良いコンテンツが量産され、たくさんの人に読んでもらえたらそれはすばらしいことです。

逆に、「わたしはお金のために書いているのではありません」という気持ちを前面に出すと、それなりの仕事しかできないんじゃないかなとも思います。「知的生産さえ出来れば、別に売れなくてもいいや」と思って書いてもよいものはあまり出てこない気がします。(あくまで私のことです)

絵を描くことも同じで、ある方は、自分が描いたものに責任をもつため、また、責任を持って描くために、絵を頼まれた時はきちんとお金を頂いていますと言われています。個展をよく開かれていて、展覧会で何度も賞を取られているかたですが、画家として生活をたててあるわけではありません。だから、よく人から「絵を一枚くださいよ」と頼まれるそうです。プロじゃないからいいだろうと思ってのお願いのようです。でも「ただでお渡しするわけにはいきません」と言ってお断りになります。私はそれをとてもよいことだと思います。人様から買っていただける絵を描くのだ、という矜持の心だと思うのです。

お金をいただくということについて過敏にならなくてもいいと思います。

お金はいいものです。次の「よいもの」を生み出してくれる原動力になります。だから私は本を描く以上、買ってもらえるに足る本を書かなければなりません。

私に必要なこと

ここから導き出される私の正しい執筆の姿勢はどうあるべきかというと、「売れ続ける内容の本を、こころを込めて書く」ということです。

売れる内容ではなく、売れ続ける内容です。ぱっと売れて評判が評判を呼び「みんなも読んでるからぼくも読む」ではなく、「よい内容だ」と声が広がり、時間がたってもコンスタントに売れ続ける。そういう本を書きたいなと思います。

つまり「ロングセール」を目指すことです。買っていただけるに足る内容の本をたくさん書き続けることだと思います。

第1作目が大事だが

このような文が出てきます。

「新人はとにかく良い作品を次々発表するしかない。発表した作品が次の作品の最大の宣伝になる。」

これは、作家の森博嗣さんが、「作家の収支」という本に書かれていたとのことです。セルフパブリッシングでも通用するアドバイスとして、本書で紹介してあります。

私もそうだと思います。「良い作品」というのが大事です。「売れる本」ではないのです。年月がたっても価値があまり劣化せず、じわじわと読まれ続ける。それはその作家のブランディングイメージに大きく影響することと思います。そうすると、「売れる」は後からついてくるものだと思います。

そういう作品を新人のうちにたくさん書くように心がければ、それは読者からの信用になるのだと思います。

商業出版ではもしかしたらむずかしいことかもしれません。売ろうとする出版社と良い物を書きたいという作家との折り合い。

でもセルフパブリッシングならいくらでもよさを追究できます。

だから、第1作には気を使います。ここでよい作品が書ければ、きっと次々とよい作品を出し続けられる。ここでこけたくありません。精神的ダメージもきっと大きいでしょう。私が過去2度挫折したのもここです。価値のあるものを書きたいと思うあまりに行き詰まってしまっていました。

小さいヒットやバントを量産する

ところが、第一作でよいものを出そうと思うあまりに挫折してしまっていては何にもなりません。

ともかくスタートラインに断たなければ話になりません。

どうやら、私は「よい作品」と「ヒットする作品」を混同してしまっていたようです。このことに気づかせてくれたのがこの文です。

「小さいヒットやバントを量産し続けて点を重ねていき、たまたま生まれるホームランで走者を一掃させる。」

ヒット作を書こうと思わないでいい、地道によい内容の本を出し続けていくことで、ある時ヒット作が生まれる。

目が開かれた思いがしました。

本を出すからには、出した途端たくさんの人から反響があり、「わあ!いい本だ!」「とても役に立った」と言われたかったのです。

でも、その気持はここを読んで綺麗に捨てました。

私はKDP第一作を、ヒット作を書くことではなく、自分の納得いくものを出すことにフォーカスします。

継続することによる積み重ね

この本には、こうしたらいいよ、という教訓は書かれていますが、そのどれもがおてがるなものではありません。

地道な努力と継続を必要とすることばかりです。

  • 教訓その1 本は勝手にはうれてくれない
  • 教訓その2 ロングセールで行こう!
  • 教訓その3 メタ情報に気を配ろう
  • 教訓その4 「買わない判断」もきちんとできるように
  • 教訓その5 値段にもメッセージをこめて
  • 教訓その6 無料セールは機を見計らって
  • 教訓その7 ホームランは偶然の産物。出たら奏者一層の期待
  • 教訓その8 ランディングページを侮るなかれ
  • 教訓その9 ロングセールを生み出すには、読者さんとの長期的な関係を築いていくこと

ロングセールを生み出すには、ともかく書き続けること、それも良い作品を書き続けること。

ロングセールを生み出すには、読者との長期的な関係づくりを築くこと。すべて地道な継続です。

「500人の読者理論」が紹介されています。セルフパブリッシャーが執筆活動だけで食べていけるのかということについて検討されています。これを簡単にまとめてある部分があるのですが、「ただし継続が肝要」とあります。

セルフパブリッシングでも「継続すること」「やめないこと」が必要だということがよくわかります。

その上で、よいものを生み出すことを継続していくことが読者の信頼の積み重ねになるのです。

「既存の出版とセルフパブリッシングの一番の違いは、編集の有無による質の高低ではなく、読み手が持っている信頼感です。・・・・信頼感がないのであれば、それを築いていけばいいだけです。」

よい作品を地道に出し続けることを継続することが、信頼づくりにつながります。

これは何にでも言えることだと思います。

読者の信頼を得るKDP作家になること。これがKDPで本を出す以上私が目指さないといけない道だと思いました。

「だからそう、行動しましょう」

「だからそう、行動しましょう。本を作り、本を宣伝し、本を売りましょう。それを繰り返していきましょう。 」

「おわりに」の中で、このように書かれています。

ぐっと心に刺さりました。

2012年のKDP開始からはじめようとしたにもかかわらず、ぶれにぶれながら頓挫することを繰り返してきた私のために書いてくださった本だと、私は勝手に思いました。

第1作目にしたいと思っている本は、20年前に書いた本のリニューアルです。今の時代になんらかの役割を果たしてくれたらと思って書いています。

3度めの挑戦です。今度こそと思いながら書いていましたが、やはりぶれにぶれて何度もアウトラインを書き直しました。

ようやく10日ほど前になってこの線でいいかなと思って進めてきましたが、それでもいろんなことを考え、気持ちがあっちに入ったりこっちにきたりしていました。

この本を読んで、私はそんな迷いを綺麗に払拭しました。

私は、今書いている本を第1作目にします。

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