研究授業は日本が世界に誇る教師の授業力向上のためのシステムだ。明治時代から続いている。

お互いの授業を見合い、教師の一挙手一投足、声、表情、机間巡視のコース、板書のしかた、授業の組み立て、発問の効果、活動、など授業を成り立たせるあらゆる要素をさらけ出し、授業後、お互いに辛辣に批評しあうのだ。

1970年代、アメリカの学者が世界の教師の教授法を検討したところ、日本の授業者の授業が一番理想に近かった。その理想というのは、教師が教えるのではなく、子供が自ら考えて解決して答えを見つけ出す授業であったが、日本の教師の指導法がいちばんこれに近かったというのだ。

日本では、一クラス40名を超えるほどの人数を一人で教えているのに、どうしてこのようなことが可能になるのか。

その理由を調べたところ「日本では研究授業なるものを行っている。これがよい授業を生む秘密だ」と結論した。そして、それを本にまとめたところ世界中でベストセラーになり、現在、研究授業が世界中で行われるようになってきているという話だ。

江波野も過去なんども研究授業を行い、浴びせられる批評に悔しい思いをし、その都度「次こそは」との思いで20数年間がんばってきたのだ。

今日は後輩教師の授業だ。

先輩としてできるだけたくさんの良い点や改善点を見つけ出し、批評という形で伝えなければならない。

江波野はiPhoneを取り出し、Posteverというアプリを起動した。

 

 

これでメモしたこと、写真などは、すべて予め決めてあるEvernote上のノートにどんどん追記していくことができるアプリだ。

江波野は、「◯月◯日◯教諭研究授業」という名前のノートをつくった。これで今からとる写真やメモはすべてそのノートに追記されていく。

カメラの音がじゃまになってはいけないので、音を出来るだけ小さくして撮ることができるカメラアプリを使う。ここぞというシーンを撮ったら、その場でPosteverに読み込み、メモを書いて送信する。

こうして後からEvernoteの「◯月◯日◯教諭研究授業」というノートを見返したら、その授業の最初から終わりまでの様子が記録されており、手に取るように一覧できるのだ。

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江波野は、Evernoteからこの記録ノートを開き、写真を見ながら気づきや後から発言しようと思っている内容を追記し、これをもって協議会にのぞんだ。

iPhoneをモニターにつなぎ、発言を求める。学習の一連の流れを撮影した写真を示しながら、徹は説明した。

「14時25分に、先生が説明をしましたね。それまで、授業の開始から先生の発問にはつねに手を上げ続けていた子供がいたのですが、その説明をきっかけにぱったり手をあげるのをやめてしまいました。それからはずっと先生の説明を聞くだけになってしまいました。受け身になってしまったのです。あの説明は子どもが能動的に学習していたものを受動的にしてしまう転換点でした。あそこは説明ではなくて、子どもから考えを発表させた方がよかったですね。」

たしかに、その説明以前はたくさんの挙手があり、件の子供も手をなんどもあげているのだが、14時25分以降は、ぱったり挙手がやんでいる。

教師の授業のコントロール次第で、これほど授業の様相が変わってしまう。

そういうことが、Posteverに一連の流れとして記録してあるので手に取るようにわかるのだ。

 


ひさびさの「お話」でした。
この後は、あまり子どもたちがでなくなってしまうので、書いている私自身が少しおもしろくなくなってしばらく「書こう」という気持ちが薄れてしまっていたのでした。

このままでは前にすすまないので、新年度になったことだし、残りの5本をアップしてしまおうと意を決して再開しました。

お話は、書いていておもしろいです。

書いていると、どんどん続きが出てきて、自分が書かされているような気になることがありますが、きっとその時、心の状態がいいんだろうなと思います。

ところで、この研究授業の話は実際に私がしていた手法です。
今から数年前のある年の研究授業はこの手法で記録をとっていたのでした。
普通は、事前に配られる指導案を持って授業をみながら、それに気づきを書き込んでいき、それをもとに協議会に臨むのですが、まったく異なる手法を試してみたのでした。


本の紹介

25年前の海外生活,PC事情,メモや手帳のことなどについて書いてます。

「私のシドニー派遣教員日記」
現地の児童相手になんとか楽しい授業をしようとジタバタしたことが,今の自分をどのように作っているのか。




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