初めてワープロに出会ったあの頃 1985年

初めてワープロを使ってみたときの驚きを今でも忘れない。
1985年頃、小さなCRTモニターと本体が一体となった機体。
前面のふたをはずせばそれがキーボードになる。
上には取っ手がついており、持ち運びができる。
据え置き型の高級機種に比べて普及型のポーターブルワープロ。
それがこの頃はじめて手にしたワープロだった。
ようやくつき始めたフロッピーディスクドライブにより、単なる清書機ではなく膨大な知的生産物の保存が可能になった。
2DtypeのフロッピーにA4サイズの紙で70枚が印刷できる、という、今考えればささやかなものだが、当時はこんな小さなディスクにそんなにもたくさんの文書が保存できるなんて考えてもみなかった。
それはものすごい意識革命だった。
70枚といえば、自分が1年間に書く文書(当然手書き)の何年分になるだろうか。
そんな数年分に渡る知的生産物が、たった1枚のフロッピーにおさまってしまう。
出勤は、フロッピー1枚だけを持っていけばいい、というようなとんでもない時代になったのだ。
さらに驚きは続く。
一度打ち込みさえすれば、その文章はあとから呼び出して編集できるのだ。
ディスクに書きこまれた情報を、一度メモリに呼び出し、そこで編集してからまたディスクに戻す。
そのような考え方は当時にはなかった。
だから、多くの人が失敗したのは、モニターに映し出された情報が本物であり、それを編集することにより映し出される情報が変われば、それはもう「変わったものだ」と思い込んでしまったことだ。
だれもが、それを「保存」という処理をしなければ「本当に」変わった事にはならない、という概念を最初は理解できなかった。
しかし、一旦理解できればそれは知的生産の可能性をすごい勢いで広げることとなった。
なんせ、あとから呼び出して短くしたり、文字を挿入したりすることが簡単にできるのだ。
これは本当に驚きだった。
はじめて私はワープロを文書編集機、知的生産専用機として捉えることがはじめてできたのだった。
ものぐさだった私は、疲れたときに寝そべって仕事の続きができるということにワクワクするような嬉しさを覚えたことを今でも覚えている。
これらの知的生産のイノベーションを肌で感じることができた驚きと感動が、その後の20数年にわたる私の生き方を変えた。
すなわち、時代の最先端の知的生産機器の波にずっと乗り続けることになったのだ。
おかげで、iPhoneに立ち上げた「音声認識Mailクラウド」に向かって上の文章を喋ってテキストにリアルタイムで変換し、今、Evernoteからこちらにもってきて投稿するといったことができている。

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